2024.03.31

その対象を完全と言えそうなほどに理解して、自らの手の中にその性質のすべてを収められる時が来るのを待ち望んでいる。同時に、理解すれば理解するほどに幻惑されて、どこまで追っても解体されることのない、不滅の魔法に取り憑かれてもがいた挙句、蔦のように絡みつくそれに逆に呪い殺されたい、とも思う。理解するということは、生きた存在をこの手でばらばらにしてしまうことで、それはその存在のことを知ろうと思う限り、最終的にはそれを自らの手で味気なくてつまらないものに変えざるを得ないということだと思う。そうした横暴をどこまでも許されたいという幼稚さといくらかの破滅願望を伴いつつ、今よりも少しはおもしろい場所へ、みたいなことをつい思ってしまう。